2019年04月29日

注射針のように


僕はレッスン中に、時々注射針の話をする。

息がスムーズに入り滞りなく流れる理想を、採血の思い出、そのいくつかのパターンで表すのです。


若い頃A型肝炎で入院したことがあります。

毎日採血から1日が始まっていたのですが、いろいろだったんですね、痛みも印象も。

おそらく経験が少ないのでしょう、若い看護婦さんの失敗採血もありました。

「チクッとしますねぇ」

本当にチクッとし、痺れるような痛みと共にツツツッと、抵抗ありながら針が入っていくのがはっきりわかります。痛みは慣れることなくクレッシェンドしていくので

「い、痛いですね」

と言いながら腕を見ると、中で漏れてるようなあざが見えてるみたいな悲劇。嗚呼、思い出すだけで痛い。


ベテラン婦長さんの場合、

「よしかわさあん、採血しますね」

寝ぼけた僕はなされるがままですが……


「はい、押さえといてくださあい」


へ?刺したの?入れたの?抜いたの?

何も感じることなく終わったのです。

痛点を外し痛みどころかプレッシャーを1ミクロンも感じさせない名手の仕事。

想像するに、針は極めてスッと滑らかに入り、同じスピードで自然過ぎる動きで往復したのであろう。


息はかくありたいという思いなのです。


レッスン

posted by take at 11:01| 活動報告