指揮をしていてつくづく思うことがある。
もしかしたらしたことがない人は、その現実に関しては「そこまででもないんじゃないか」と思うのではないかということ。
それは「合奏体というのは、本当に指揮をした通りにしか動かない」ということ。
つまり指揮の腕の動きと全く違うようなタイミングで合奏体が動くのは、ほぼ不可能。ほぼというのは、全員が完全に指揮を無視したならありうる。
僕もこの年まで一切指揮をしなければ「少しくらいは演奏家の方に優先権もあったりするのでは?」と思ったに違いない。
ただ演奏家というのも、完全に指揮者の点にだけ合わそうとしているのではなく、ある点から次の点へは自らの拍感やビートで進もうとはする。それが自然であればあるほど、音楽的な説得力が出てくるが、不自然であればアンサンブルが徐々に崩壊したり、気持ちの悪いアゴーギグで出来上がったりする。
結局、指揮者の頭の中の音楽が如何なるものかを完全に無視して進むことは極めて困難だし、その頭の中と腕の動きが合致してない棒だとこれまたややこし過ぎる結末がやってくることになる。
N響ほどの合奏体でも、過去何度かどうにもならないくらい酷い演奏しかできなかったことがある。猛者たちの自然かつ豊かな音楽的タイミングを崩されまくった結果の目も当てられない不幸だった。(もちろん二度目の共演は無い)
よって合奏体の前に立つ者、本当に責任を持って身体を動かさなければならないと、改めて身が引き締まる今日この頃なのです。