2023年03月15日

90年を経た至芸


御年90歳のマエストロ・フェドセーエフとのリハーサルが始まりました。

演奏旅行のプログラム、チャイコフスキーの5番とラフマニノフのピアノの2番は、どう考えてもマエストロの十八番中の十八番でしょう。

面白いのはリハーサルのスタイル。

しつこくしつこく返す場所、返す楽章は「え〜もう一回なの」と嘆きたくなるくらい。そんな期待を裏切る「ダ・カーポ」に比して、一回通して終わりの楽章もある。いいのかな?

いいのでしょう。

マエストロの永年の経験で、やり口は定まりきっている。場所による練習の比重も、もう何十年も世界中でやり尽くしてきた末の結論なのでしょう。


マエストロ・ブロムシュテットもですが、90を過ぎた指揮者の表現は、本当に至芸としか言いようのない極まり感に満ちている。

大半の指揮者はその年齢までやれていない。ということは、その年齢の脳での音楽作りは経験できずじまいということになる。

彼らのような特別な存在の、特別な到達点を目の当たりにしながら、思わず隣のチューバ奏者池田君に呟いていた。


「指揮者は90からだね」

posted by take at 17:46| 活動報告