2022年08月19日

充満して受け止めてくれて


トロンボーン協会の会報の中の、バストロンボーン奏者西田幹さんによる【軽いマウスピースはどうなの?】という寄稿。この中で「ああ、この表現!」と、膝を叩くようなものがありました。


『音を出そうとして、息が出ます。その息がマウスピースのカップに充満して、一瞬ですが飽和状態を迎えます。この時にいわゆる「抵抗」を唇に感じることになります。この一瞬‥‥マウスピースが息を受け止めてくれる感じが‥(中略)‥もちろんそこには楽器自体の抵抗も加わるかと思います。この受け止めが無いマウスピースは私にとっては非常に吹きにくいマウスピースとなります』


そうそう!

このことをこんなに的確に言葉にしてくれたもの、僕は初めて出会う気がします。シンプルであり納得!見事!!

この受け止めてくれる感に対するセレクト次第で、自分の「どう吹きたがっているかという性分」と幸せに付き合っていけるかが決まってくるのだと思います。

これは、その後息がスムーズに流れ続けるということに大きく関係してくるし、同時に流れ方に関して勘違いの根っこにもなる。「心地良く流れている」と「持ってかれている」の差に繋がるのでしょう。


息というのは「余計なことを考えずに送れる」ということが大事。吸う瞬間、表現に対するイメージだけが湧いて、出したら「そうできたかどうか確認しながら進めばいい」だけ。

これ以外を考えなくてはならない、つまりなんらかのコントロール義務が訪れるなら、そして数日試してもそれが「何も考えない状態」になれないなら、やはりもっと自分に合った良い物があるのでしょう。

その根幹に、この西田さんの価値観があるのだと思います。


言葉って大きいですね。具体的想像の精度が変わる。理解も感覚も変わることに貢献する気がします。

トロンボーン人生の間に出会えてよかった。西田さんに感謝!

posted by take at 12:14| 活動報告