とある大先輩は「楽器なんてなんでもいいんだよ」と言い放った。
「吉川、これちょっと吹いてみて」と楽器屋で言われて吹く。「どう?」と聞かれ「いいんじゃないですか」と答えると、「じゃあこれで」と大先輩の剪定品として認定になったことがある。
「楽器なんて‥」と同じ人の話。
かのモーリス・アンドレにも「30分吹けば、どんな楽器も自分の音になるから」と、なんでもいいよタイプの発言があるよう。
それが真実、実はそれが名手なんだろうなあと思いつつも、出会いを求め楽器やマウスピースを探し続ける人もいる。
ただいつも思うのは「出会えた!」と思ってもそこが全てのスタートであり、自分と道具の両方で変化しながら最高のペアを目指していくもの。
「吉川さんの楽器、僕のよりものすごく吹きやすいです」と言われたこともあるが、その人の楽器も決して悪くなかった。
もう一つの真理として、ミシェル・ベッケさん所有の楽器を上手くない人が吹いてもいい音は出ないし、その楽器以外の大半の楽器どれでも、ベッケさんが吹くと誰よりもいい音が出るでしょう。
今目の前にある道具で、スタートしてから自分がどれだけ変われる能力があるかにつきますね。
最高のパートナーがいるのではなく、自分の力で最高のペアになれるかどうかだと思います。