2020年02月11日

風の現実


なかなか観ることができなかった映画『風の電話』。今日の大阪日帰りの旅にて、ようやく観ることができた。

東京で開催されなかった「カラバッジョ展」を観る目的の大阪旅。東京で噛み合う上映が夜遅い時間なので、大阪で観てからの帰京となりました。


高校三年生のハルが、広島から故郷大槌へと旅し、最後浪板海岸の風の電話に辿り着く。


映画のテーマは実はシンプル。


震災で家族全員を失い広島で叔母とくらすハルは、心の傷が癒えぬまま、センシティブなメンタルの生活が続いている。

叔母が倒れたのをきっかけにいよいよ自暴自棄になり、そこから様々な人と出会いながらヒッチハイクで大槌に辿り着く運命に。

出会う人たちは皆事情を抱えており、様々な辛さの立場、様々な優しさを知っていきながら、かつ「生きろ」とのメッセージを与えられ続ける。

最後、風の電話で家族と話すことにより、積年の思いが外へとあふれでると共に、自分は生きていくことへと再生したことを告げる。

1人の若者の再生への成長物語だ。


ただ普通のドラマ、映画と違うのは

題材が東日本大震災の被災者の話であり、暮らす広島の水害から旅先で出会う人たちの事情も全て、私たちの国の国民が実際に体験した現実をもとにしたもの。更に最後辿り着く風の電話も実際に存在し、ハルのように家族を全て失った人も、少なからず生きることへの再生を経験した人も、どう考えてもたくさんいる。そして今なお辛さも希望も存在しながら復興は道半ばという、そんな現実を1人の若者を描くことで表した点だ。


役者たちの演技は全て素晴らしく、リアリティーに溢れていた。

ゆえに現実の悲しみを知る身としては、溢れる涙を抑えることはできない。


このような映画を作る人たちの価値観とエネルギーは、本当に素晴らしい。

エンターテイメント性はなく、現実的な辛さの先に少しだけ光がさすだけ。しかしそれが生きていくということだという重々しいもの。

言葉としては陳腐に感じるかもしれないが、その創作は全て「人助け」の精神こそがなし得るものだ。

あらためて、ハルのように辛い辛い時間が述べものすごく流れたこと、「助けたい」という人たちの力があちこちで渦巻いたこと、そして「生きる」と決めて懸命に命を動かしている人たちがいることを、知る必要を感じさせられた。


泣きながら話すハルを優しく包み込んだ電話ボックス。その周りには強い風が吹き続けている。

その風は僕も経験したもの。

あのときも、映画の中も、辛さを吹き飛ばし希望を連れてくるようでありながら、現実の厳しさを訴えているが如く、強く強く吹き付けているものでもありました。


大阪へ日帰り旅
負けるわけにはいかん。

posted by take at 18:33| 活動報告