2019年08月27日

課題という宝


僕はそれなりに長くトロンボーンを吹いているが、正直に書くと、成長と学びに対する取り組み、そのペースが常に同じようにアクティブだったわけではない。

停滞していたり、なんなら怠惰な取り組みのときも。欲浅く仕事をこなすだけ、まあこんなもんかみたいな時期や、きわめて不真面目な日もあったりした。



たとえば素晴らしい演奏を不意に目の当たりにしたとして、奮起のきっかけになったという有難いタイミングもあるが、自分の中の課題が弱いそんな時期は、ただただ受け止めて終わりなんてこともあったと思う。


つまり素晴らしい演奏を聞く体験をしても、その人の中にある課題と照らし合わさって、新たなる発見と共に変化に繋がる貴重な機会になることあれば、「良かった、凄かった…」で終わり、成長の足しにはならないこともある。

自分にとって人生が変わるくらい特別な体験でも、隣の人にとっては、演奏会後の食事中にはもう数ある観賞体験のひとつにしかならないこともあるのだろう。


若き楽聖含め演奏を磨いていきたい人なら、素晴らしい生演奏を聞くことは絶対に必要だ。外来的印象無しに、自分だけのイメージで進める人はまずいない。


ただ聞きさえすれば良きことに繋がるとは限らない。


優れた演奏家が過去に聞いた様々な演奏から(なんならどんな稚拙な演奏からも)、聞く度になにかをゲットしていったことにより急激なる名手化を為したとしたら、それは何より常に高い理想へのオリジナルともいえる個人的課題を持っているからだ。


実は不可欠なことは聞くという体験ではない。課題を持っていること。その課題さえ持っていれば、聞いた演奏から初めて自分を変える気づきを得ることができる。


課題の無い人は、貴重な宝が心のフィルターをすり抜けて流れ出てしまうことになる。


N響オペラ練習

posted by take at 10:19| 活動報告