2019年03月17日

薬師丸ひろ子さん その2


昨年5月にリリースされた『エトワール』は、美しいバラード集。たくさんのアーティストが曲を提供し、薬師丸さん自身の作詞もある。その全てがとても魅力的な音楽であり、詞の世界観も私たちの世代に深く染み入ってくるもの。薬師丸さん自身が、この年齢を生きていることが歌唱からも伝わり、共感度高く。


ある日ふと気づく。


僕の心がどんな状態のときも、この音楽たちを聞くと同じように穏やかな気持ちになれている。

心の中がいかように散らかっていても、同じように整理整頓される。

悩みや憤慨、疲れや病まであっても、また興奮状態や落ち着きのない場合でも、必ず同じように整い、音楽家らしい明日からの希望へ向かう生き方へと導いてくれる。


これは稀有なパターンだ。


今までにはないこのアイテムにとても嬉しくなりました。同時に、新しい価値観として音楽の力を強く感じることになったのです。


今年の1月、共演したピアニストにその話をしたところ、曲を聴いてくれた彼女からコメントをもらう。

「今吉川さんが、いろんなものを削ぎ落としナチュラルになろうとしている時期だからじゃないですか?(声や曲がフィットするのは)」



先週NHKホールで開催されたイベント、いだてんコンサートに、なんと薬師丸さんが客演。N響をバックに「見上げてごらん夜の星を」を歌いました。

出番になった瞬間から楽しみにしていたのですが、ゲストも多く、普段よりかなり雑然としている舞台裏の中、薬師丸さんにお話しをしにいくかどうか少しだけ悩む。お忙しいだろうし周り中バタバタしているし。

しかしこのタイミングも何かの指針かと感じ、N響からマネージャーにアポイントをお願いし、許可をもらい終演後の楽屋を訪ねました。


「N響でトロンボーンを吹いている吉川といいます。本番後のお疲れのところすみません。今日素晴らしい歌で感激しました。実は昨年リリースされたエトワールなんですが……」


薬師丸さんは、とても素敵な笑顔と自然体な大人としての振る舞いで、僕の謝辞を聞いてくださり、心が整理されるのくだりでは、興奮したように喜んでくださった。

雨の中、品川へと帰る僕の心は温かく、足取りも軽くとても幸せな一夜になったのです。



昨日はオーチャード定期、イタリアオペラの曲集、人気の反田君をソリスとにパガニーニ変奏からボレロというプログラム。

本番休憩時に舞台裏を歩いていると、N響事務所の女性が興奮したように僕を呼び止め

「吉川さん、薬師丸さん聴きにいらしてます。団員の皆さんに差し入れまでしてくれて。早く早く!!」

残り少なくなった差し入れの前まで連れていってくれ、僕に素敵なお菓子を手渡してくれました。



「作曲家が書いた音符ひとつひとつにこだわりがあることを知っているので、自分流にアレンジして歌うことはせず、楽譜に忠実でいたいと主張している」(Wikipediaより)


私たちが最も共感してしまうこの価値観含め、素晴らしい音楽家、素晴らしい人格の薬師丸さんに、強い敬意と愛情が膨らむのです。


トロンボーンフェスティバル、レッスンと作曲コンクール審査、ブロカート

posted by take at 10:36| 活動報告