2018年11月16日

老害先に断たず


「人間は考える葦である、だからね」

人間は一本の葦にすぎず自然のなかで最も弱いものである。だがそれは考える葦である。


先生は時々過去の教えから、若者を導こうと……

楽聖Aがダイヤモンドより硬く固まっているが、目は群から外れた魚のように泳いでいるぞ。

「(こりゃわかっとらんな)あのね、人間は考える葦でしょ?わかる??」

もう一人の楽聖Bに振ってみる。

「知ってます知ってます。あしって草かんむりのあの字ですよね」

「そーそー。で、誰?」

「え?」

楽聖Bもカチコチに固まったが、直ぐにGoogle先生に聞いている。

「パスカルです」

「そう、哲学者パスカルね」

次の瞬間楽聖Aが叫ぶ。

「知ってます!知ってます!!ヘクトパスカルのパスカルですよね」

僕は瞬間大爆笑噴火を抑えられなかった。

「ギャハハハハハ!!!あのねえ!ヘクトパスカルは台風の気圧の単位でしょーがっ」

「えっ?でもヘクトパスカルのパスカルじゃないんですか?」

「んなわけないでしょ!かつてはミリバールってったのよ。結構最近、ヘクトパスカルになったの!!パスカルはかなり昔の人よ。そもそもジャンル違うし!!!ギャハハハハハ」

僕は散々呆れ返って、楽聖を笑いながら攻め続けたのでした。



N響定期のためサントリーホールに着いてからも、今日のイチオシ、場外ホームラン級のこの爆笑話を披露せずにはいられない僕。楽聖の名誉のため当然名前は伏せるが、数人に話し「ヘクトパスカル」の瞬間で順次爆笑を生んでいく。

ふと見ると、黒金君がスマホ片手にたそがれている(ように見えた)ではないか。

「あのさ黒金、今日さ……」

で、例によってヘクトパスカルで笑いが起こったは起こったのだが。

少し間をおいて

「吉川さん、本当にあのパスカルみたいですよ。数学者でもあるパスカルから単位をとって、ヘクトをつけたみたい」


Σ( ̄□ ̄;)まっ、まじかっ!!!!!!


黒金君が調べたページには、確かにパスカルの名前が。

ま、まずい、これはまずいではないか。あんなに楽聖をバカにして笑って罵ってしまった。きっと彼女は、ヘクトパスカルを学校で習ったとき語源も学んだのだ。だからねんを押すように僕に訴えたのだ。

嗚呼、そんな楽聖を間違えている先生の方があそこまで攻めてしまった上に、楽しそうに口軽よろしく喋りまくってしまうなんて。

先生としての威厳は有限であり、最近あちこちでポロポロこぼしてしまったため、残りのポイントはかなり少なくなっていた。ここらへんで足しておこうと、アカデミックな知識で攻めたつもりが、逆に全てこぼしてしまい、これじゃマイナスではないか。


まずは楽聖に連絡をし「君が正しかった、笑って悪かった」と詫びるしかない。

しかしこんな日に限って、僕はレッスン室に携帯を忘れてきたのであった。


明日お菓子でももっていき、まずは彼女の名誉回復につとめなくてはならない。

僕の困惑からの狼狽は、周りの更なる爆笑を生んでいるが、ポイントを失った僕は、たしかに自分がおもろいのだがアワアワするばかり。

「吉川さん、これブログに書くべきですよ」

ま………まじか(小声)


翌日楽聖の名誉は回復され、彼女は天を仰ぐように胸を張り、鼻息荒く


「ですよね〜〜〜、だってヘクトパスカルはパスカルなんですもん!!!!」


川越へ

posted by take at 18:05| 活動報告