2018年10月04日

水野うどん


あの美しい女優水野美紀さんのイメージが覆る!!!こんなにコシ太想定外の文章が書けるなんて。来年の脳減る文学賞は水野美紀で間違いないだろう。

さあ、読むがよい!!!!


42歳で電撃結婚、翌年には高齢出産。激動2年を経た女優・水野美紀さんが、“母性”ホルモンに振り回され、育児に奮闘する日々を開けっぴろげにつづった連載「余力ゼロで生きてます」。今回は、大好きなうどんにチビとともに救われた、酷暑のあるエピソードをお届けする。


【猛暑の中の買い物で、「うどん」に救われたチビと水野さん…】


うどんが好きだ。

子供の頃から、香川にあるばあちゃんの家に遊びに行くと必ず讃岐うどんを食べていた。

海水浴をしに女木島まで行くフェリーの船上で、風に吹かれて食べるうどんは格別だった。

ばあちゃんの家の近くのセルフのうどん屋で、天ぷらを選んで、自分で出汁をかけて、もりもりうどんを啜ったものだ。

小学生の時には、ばあちゃんにうどん粉を送ってもらって、自宅で生地をこねてうどんを作って食べていた。

美しく角が立ったコシの強い讃岐うどんをシンプルにざるで食べるのは最高に美味い。

それ以外のうどんはうどんじゃない。

そのくらい、私のうどん愛は讃岐から始まっている訳なのだが、大人になって、他にもたくさんの美味しいうどんがあることを知る。

細い平打ちの稲庭うどん
名古屋の煮込みうどん
透き通った関西のうどん出汁
モチっとした伊勢うどん

土地土地に様々な特色を持ったうどんがある。

いろんな土地でいろんなうどんを食べて、コシの強さだけがうどんじゃないことを知り、うどん愛は広がっていった。

うどん。

味噌汁の次にホッとする食べ物。

お腹に優しい食べ物。

ここまでうどんうどん書いているが、これは食い倒れエッセイではなく子育てエッセイだ。

その点を忘れずに筆を進めているので安心していただきたい。

なぜうどんうどん言い出したか。ちゃんと理由がある。今から書く!

チビの離乳食にもうどんは大活躍。

チビはうどんが大好きだ。

離乳食は柔らかさが大事なので、スーパーのゆで麺によくお世話になった。

あの、一人前ずつ袋に入って、冷蔵コーナーに並んでいるやつだ。


コシのある讃岐は避けて、塩分ゼロのゆで麺を選んで、記載されている湯で時間の三倍以上の時間茹でてやわやわにして、箸で小さくちぎって食べさせていた。

離乳食が進んでくると、細かく切らなくてもちゅるちゅると上手に啜って食べる。

手掴み食べの練習にもうどんは重宝した。

一本ずつ手で掴んで上手に食べるようになるのだ。

我が家では、チビ用にゆで麺を常備している。

ある猛暑の昼下がり。

私はチビをベビーカーに乗せて近所のスーパーに買い出しに出た。

家からスーパーまでは歩いて5、6分ほど。

チビの背中に保冷剤を差し込んで、足早に向かったが、外はすごい暑さで、スーパーに到着すると、どっと汗が出た。

チビも頭に汗をかいている。

背中に手を入れると、保冷剤はもうぬるくなっていた。

ベビーカーに密着する背中や後頭部はどうしても蒸れやすく、すぐに汗をかいてしまう。

チビの頭は汗でビッチョリだ。

チビは特に頭部に汗をかきやすい。

クールダウンしなくちゃと冷蔵コーナーに向かった。

チビの汗をふきふき、魚やお肉のコーナーを回り、ベビーカーを少しでも冷気に近づけるが、なかなか汗が止まらない。

ものの5分、外を歩いただけなのに。

冷蔵コーナーから冷蔵コーナーへと渡り歩いて、豆腐など加工品の冷蔵コーナーでベビーカーを止め、チビに麦茶を飲ませる。と、目の前にはうどんのゆで麺。

「そうだ、うどん買わなくちゃ」

ひと玉買い物カゴに放り込む。

そうこうしているうちにようやくチビの汗も落ち着いてきた。

子供は大人より体温が高い上に、体温調節機能がまだ未発達なので、熱中症になったり風邪をひいたりしやすい。

この猛暑の日々、母はいつもヒヤヒヤものだ。

なんとか、お会計を済ませる頃には汗もすっかり引いて、ご機嫌なチビはベビーカーでうとうとし出した。

マズイ……。

買ったものを袋に詰めながら私は焦った。

帰り道。これからまた猛暑の屋外に漕ぎ出して、家まで帰らなければならない。来る時にこんなに汗をかいたというのに、寝たらさらに体温が上がってしまう……。
どうする。しばらくここで待機するか。

いや、そんな時間はない。

途中のコンビニに立ち寄ってクールダウンを挟むか……。

思案しながら茹でうどんを手にとって、閃きが身体を貫いた!!

このサイズ感……!
この柔らかさ……!
この冷たさ……!!
これはもしや……!!

次の瞬間、私はそれを、チビの後頭部にそっと差し込んだ。

読み通り、ピッタリだ!!

私はベビーカーを押して外に飛び出した。

はたして。

家までの道中、チビはスヤスヤと眠り続けた。

頭を汗だくにすることもなく。

実に気持ちよさそうに眠り続けたのである。

家に到着しても、うどんはその冷たさを保っていた。

チビをベッドに運び、枕としての役目を終えたうどんをそっと冷蔵庫にしまった。数時間後、このうどん様は茹でられて、本来の食べ物としての役割を全うするのだ。

うどんが好きだ。

ここにきてこんな形でうどんに助けられ、さらにうどんのことが好きになるなんて、誰が想像しただろう。

ああ、好き。

全方向からうどんが、好きだ!!!


N響練習、川越へ

posted by take at 09:26| 活動報告