2018年03月18日

楽器とピッチと音色


かつてのドイツ管に顕著な特徴として挙げられること。いくつかのボイントがあるが「明るく響く」というのはそのひとつだと思う。

これはドイツ人の趣向、使われた金属のこと、周りの環境等いくつもの理由が、歴史的な時間と共に重なってのことだと思うが、ベルリンフィルはじめとしたオーケストラのピッチが高く設定されたことも大きいでしょう。


Aの音は周波数でいうと440Hzだが、オーケストラによってこのピッチは少しずつ異なっている。

かつて情報が広範囲に流通してない時代は、それぞれの事情でかなり自由だったそう。430だったり450だったりもしたそうだが、現代は440代前半が主流。

アメリカは低めの440。ところがヨーロッパ、特にドイツ・オーストリアではこれが444とか445になっていることは珍しくない。

僕が留学していた頃、ベルリン・フィルでは、それまでより少し低く443辺りにしようという流れもあったようだが、結局演奏の後半には445くらいに上がっていたように聞こえた。カラヤン時代は446だったとも言われている。
 

一般的には弦楽器はピッチが高いほど弦のテンション(張力)が高くなり、張りと音量のある華やかな音になるので、ドイツ人がとにかくそれを好んだというのは、管楽器のセッティングにも当然影響しているはずなのです。


で、現代ですが、世界が442辺りで落ち着きつつある時代。アメリカ管のみならずドイツ管はじめヨーロッパの楽器たちも、そこを意識した作り、セッティングになっているのでしょう。

その楽器に対し、ツボとしてはセンターを狙い、息の流れや響きの豊かさに自分の個性をもたせるのはとても良いと思いますが、その楽器が本来持っている響き以上に明るく吹こうとしたり、更に暗く太く吹こうとするのは、実は良くないのだと思います。

自分のイメージ優先で、とにもかくにも明るく、また暗く吹こうとすると、不自然なレスポンスになり、タンキングや息の流れに癖を持って影響が出てくると思うのです。

素晴らしい楽器の言うことをよく聞き、それを超えてまで個性を出すのではなく、とにかくポテンシャルの幅を信じて、立体的に拡げていく。

そうやって初めて、明るさも暗さも、自在に表現できるサウンドになっているはずなのです。


N響鶴岡公演

posted by take at 15:24| 活動報告