2017年12月23日

空間は演奏家だけのものではない


僕自身は、ホールだろうが部屋だろうが空間全体を意識して音を出すことの重要性は理解していたし、若者たちにも伝えてきた。

「部屋のあの隅、あの隅まで音が満ちるように」と言ったり、「部屋一杯に」と唱えてから吹くことを共有したり。


先日のレッスンで、ふと面白いアプローチを思い付いたので試してみた。 エワイゼンをピアノ付きで持ってきた楽聖へのアプローチ。

「一回僕がこの部分ピアノと一緒に吹いてみるから、聞き手になって、時間の推移や耳、心の感じ方を研究しながら聞いてみて。それから同じ部分を吹いてみよう」

最近の重要課題として「聞き手の状態を理解する」というのをやっているのですが、なら実際一回聞き手になってみたらどうだろうと。

演奏後の楽聖のコメントは、僕にとってとても意外なものでした。僕は彼女が時間のことや瞬間に感じたことを言うと思ったのです。


「空間と立体感を感じました」


驚きと同時に次の瞬間、僕は今まで自分の意識が至ってないことがあったことをとても反省したのです。

ホールの客席にいる聞き手は、演奏家とその音だけを感じているのではなく、空間全体を感じているのだというなんとも当たり前のことを、妄想したり、聞き手側からの方向で考察したことがありませんでした。


聞き手の視界のパノラマと目前への距離、その中心に演奏家がおり音を放ってくる。しかし聞き手は、遠くに小さく見える演奏家だけ、そこから放たれる音の実体だけではなく、自分を包む空間全てから印象を感じようとしている。


やはり演奏家と聞き手の真ん中に巨大な鏡を置き、全ての項目において細やかに、双方の方向を見つめる重要性を強く感じたのでした。


ブロカート、分奏、合奏

posted by take at 16:58| 活動報告