2017年11月17日

伸びしろ


バイオリンの名器といえば、泣く子も気持ちよくなるストラディバリウスだが、実は演奏するのはそれなりに難しいらしい。技術の低い人には、全く扱えない代物だと聞いた。

「僕らでも大変だったりするんだよ」

これはN響ベテラン奏者の弁。

つまり、最初から弾きやすいわけではなく、名手が時間と共に自分のものにしていくのだろうし、その演奏家もストラディによって成長していくのだろう。


比較的最近出たバストロの新モデル。現場で活躍する多くのプレイヤーが購入し、そしてかなりの割合の人が既に手放していると聞いた。

たくさんの入手欲を生んだのだから、新しい感性に訴える力の強い魅力あるモデルなのだろう。

僕は吹いていないのでいい加減なことは言えないが、想像するにとてもいい音がして吹きやすいのだと思う。

しかしかなりの人が、高額な楽器を直ぐに吹かなくなった。

おそらく、ストラディバリウスを持った人が感じるような

「こいつと共に自分こそが変わっていったなら、もっともっといい音が出て、表現もより説得力のあることができるようになるだろう」

という伸びしろが少なかったか、はたまたあまりにある形に完成されていて、やはり自分が共に変化する部分が、早い段階で感じられなくなったのでは。


研ぎ澄まされ過ぎたもの、純米大大大吟醸の中のウルトラ大吟醸みたいなものは、やはり趣味をわける気がします。

それは私たちが本能的に欲求する、伸びしろという未発達な部分の魅力、その有無と量ではないだろうか。


N響定期

posted by take at 21:19| 活動報告