2017年08月10日

本拠地での威厳


那覇バブテスト教会の響きは、トロンボーンアンサンブルにおいて理想的だと思えるものでした。

基本、残響豊かによく響くのが教会。ただ個人のパーソナルは響きに埋もれ、美しいのだが魅力が画一的になりがちな空間も多い。どのプレイヤーも同じサウンド、吹きかたも一緒に聞こえたり。

バブテスト教会は、よく響くが個人のキャラクターはまるで失われず、その絶妙なバランスが、僕に「これこそ」と思わせるものだった。

特にバッハとパレストリーナの響きは、この年にて初めて

「本来教会で演奏されていた形態であり、作曲家もそれをイメージして書いている」

ということが、身をもって理解できたサウンドになっていた。

だからといって、トウキョウトリプティックやハートレーが様になってないわけではない。それは、見事にかっこよく放射状に放たれていた。

楽聖たちの伸びやかさ、そして見事な調和は、ピアノでもフォルテでも、コラールでもアレグロでも「本拠地での威厳」を示しており、トロンボーンがあまりに素晴らしい音を出す楽器だと証明しているようでもあった。


近々YouTubeに、いくつかの演奏をアップする予定です。是非聞いていただけたら幸いです。


沖縄県芸、東邦音大ジョイントコンサート

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2017年08月09日

成長のるつぼ


今年は東邦組が沖縄に来て合宿をしています。

昨年新大久保でやり好評だったふたつの大学のジョイントコンサートも、今年は那覇の教会で。今日は一日会場の教会で練習ができるという、恵まれた内容になっています。


ハートレーのオクテットから始まりましたが、合宿所でもつめて取り組んだオリジナルのトレーニングが、かなり効果をあげています。

ジョイントとしては数日で仕上げなくてはならないので、細部も全体も、なるべく短時間で全員が理解することが大事。それを目指した取り組みだったため、成果は嬉しく感じられました。


大編成アンサンブルがほとんど初めての一年生たちも、先輩たちとのディスカッションの中、よいスピードで変化しています。

あれはきっと、センプレぐるぐるしながら、吸収しているのだろう。理解がついていけてるかどうかはわからないが、頭の中こそわかるのが全てではないので、自分の演奏の変化を感じるだけでも価値があるな……


夜の食事でそのことを投げてみました。

「どう?初めての合宿は?」

「本当に楽しいです。春から今まで練習はしてきましたが、アンサンブルの中で初めてこれから何をしていかなければならないか、わかってきて…」


だろうね。そうだろうから本当に良かったね。

これからやるべきことがわかるということは、この合宿で自分が変化したことを受け止め、その方向性を理解しようとしていろいろ見つけられてるからだろうし、そしたら楽しくなってきたんだろうし、そしたら嬉しくてワクワクするんだろうし。


そう。今日という日もだが、明日から何をすればよいのががわかることこそ、心と身体の成長と幸せに最も貢献するんだね。


そんな彼らの言葉を聞いた僕もこれまた嬉しくなり、泡盛の力もあって、うちなーの人たちともえらく盛り上がってしまうのでした。


沖縄合宿四日目

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2017年08月08日

自分の歌を実現するために


歌を歌うように吹きたいと思うのは、自然なことだと思う。

しかし口で歌うのをそのままトロンボーンで吹こうとしても、まずうまくいかない。結果プレイバックを聞くと「これじゃない」となる。

演奏のフォルムが思い通りとは違っており、乱れているように聞こえるだろう。

結果トロンボーンで

「聞こえたいように歌う」

ためには、口で歌っている形と随分違うアプローチをしなければならない。

実は歌手も「自分が思っている歌のように聞こえたいフォルムの歌い方」というのには、技を使って、敢えて自然発生的ではない歌い方をしているのだろう。


トロンボーンの場合尚更なのだが、この楽器が厄介なのは、スライドでポルタメント含め音程が自由になり、ラララ♪フンフン♪と歌うのと同じように吹けてしまうことだ。


歌を忘れた演奏家になってはならないが、本当に美しく歌うために、客観視を磨き奏法を研究する。それにこそ貪欲でなくてはならない。


沖縄合宿三日目

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2017年08月07日

作る音


自分のベルの位置で、自分が聞きたい音を作ろうとしてはならない。

ベルの随分向こうで、聞き手が聞きたい音こそを作らなければならない。

この二つはまるでスタンスが違う。

そうして出来上がってきたやり口から自分に聞こえる音こそが、自分の聞きたい音にならなければならない。

これまた、ベルの位置で聞きたい音を作ったものとは、まるで違う音のはずである。


沖縄合宿二日目

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2017年08月06日

幸せの黄色いリボン


テレビから「幸せの黄色いリボン」が流れてきた。忘れた頃に聞こえてくるこの名曲。コマーシャルでは定期的に取り上げられますね。

世界で一番カバーされているとも言われています。切ない世界が、音楽のムードとしては明るく展開するのが特徴。それまでヒットがなく、グループ解散も考えていたドーンが放った1973年奇跡の一曲。

ほとんど下降するメロディーで成功しているのが凄いし、和声の展開もなんともセンチ。音程の幅が狭かったり広かったりと絶妙で、霊感が生んだであろうその順番と組み合わせの勝利か。アレンジ含め楽しい世界観で綴ったのが、多くの人々の人生経験の琴線にヒットするようだ。


やはり高倉健と倍賞千恵子さんのラストシーンが印象的な「幸せの黄色いハンカチ」を思い出します。

僕自身、若い頃はさほどヒットしてなかったが、年齢を重ね、様々経験した今、この、時間「待つ」、そして「許す」という心根が、黄色いハンカチによって昇華され、苦しんだ人に幸せを与えている、その人間の徳に深く感動してしまう。


幸せの黄色いリボンは、音楽的勝利と、さらりと明るく歌ってしまう大人のスタンスとしての表現、そして深い深いエピソードが相まって、何度聞いても切ない音楽的ムード以上にセンチな気分に包まれる。


『僕は刑期を終えて
家路に向かうバスの中
手紙で伝えたとおり
僕は近々出所する
もし君がまだ僕を必要としてくれているなら
古いオークの幹に
黄色いリボンを結んでおいておくれ
3年も服役していた僕だけど
君はまだ僕を必要としてくれているかな?
もし黄色いリボンがなかったら
僕はバスを降りず
君との事は忘れることにするよ
悪いのは僕なんだから


バスの運転手さんよ
僕の代わりに見てきておくれ
ちゃんとリボンがあるかどうか
とても自分じゃ見られそうに無いんだ
僕はまだオリの中も同然
自由への鍵は彼女が握ってるんだ


バスの乗客みんなが騒いでいる
目の前の光景が信じられないよ
100個もの黄色いリボンが
古いオークの幹に結ばれていたんだから!』


屈託ないメロディーが歌っているのは、本当に素敵な人間の話なのだ。


沖縄合宿

posted by take at 17:28| 活動報告