2016年12月25日

クリスマスおらの通りを…


イブの日は、15時からNHKホールで第九の本番でした。

そんな日の夕刻に渋谷にいるのはなんだが、ルードヴッヒの音楽と共に暮らしたいという人も多く、担い手としては仕方ない。

もしかしたら半数は勝負カップルか? そんな男女の思惑の成功の為にも、楽隊は渋谷にいなければならない。しかしこの時、僕の想像力は例によって貧困なままだった。渋谷はそんな男女で溢れるダンジョンになっていることに…


終演後、原宿駅か渋谷駅かというと、当然原宿を目指すべきである。実は原宿も最近コミコミだが、とは言ってもやはり渋谷は比べものにならないキングオブヤンゴミ(やんぐな人混み)なので。

で、そうすると楽屋口へではない導線でホールの外へ出るのだが、なんとなく仲間と話ながら楽屋口から出てしまった。

ま、いっか、渋谷で……

こ!ここが巨大な間違い、判断ミスっ!!!

公園通りを航海し始め直ぐに後悔。第九を聞いたばかりのカップルと並走しながら、戦闘機ゲーム並みに目前から人が向かってくるではないか。

渋谷四半世紀のウルトラテクニックを駆使し、ヨケヨケ歩くが、途中の横断歩道で後悔は決定的なものになる。対岸は黒い塊ではないか。あれは全て人間なのかっ…

あれを突き抜けるのは無理だ。聡明な僕はすぐさま右折。それで大丈夫かもと思う聡明ではない僕は、ハンズを左折しセンター街へ入った瞬間絶句。モンハンくりびつの勢いと数のヤング弾雨あられ攻撃をうけながら、ズタボロになりながらセンター街をなんとか前進。

全身傷だらけ、髪は落武者のように乱れ落ち、満身創痍の状態でスクランブルにたどり着いたら、そこには見たこともない光景が。

こちらは巨大な黒い塊、あちらも巨大な黒い塊。信号の青化と共に塊同士は移動。交差点の真ん中で遂に接触。のまんま動かず。

こっ、こんなことがっ!!

交差点の向こうは、人が流れてきたはずなのに既に塊。人々は数少ない隙間を探し、小さな移動を繰り返し、時間をかけて塊は入れ替わっていく。

改札に入る、入ってから、階段、ホーム、その全てが高過ぎる人口密度により、モゾモゾとしか動かないビジュアルだったのは言うまでもない。


実はこの時、渋谷にいたのはカップルばかりではない。ボッチを避けたい御一人様が「とりあえず渋谷へ行っとくか」、そんな人もきっといた。

ただ、カップルも御一人様も誰も悪くないのだ。

そこにいるべきではなかったのは、第九を終えた音楽家だけだ。あの時の渋谷で邪魔だった、余計だったのは、間違いなく判断を間違えたトホホでアホホな僕なのである。


室内合奏団。N響第九仕事、本番四日目。ブロカート。


posted by take at 14:04| 活動報告