2016年11月04日

時空の川下り


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保津川の川下りを楽しみました。1時間50分もの渓流観光。天候も良く、記憶に強く残る予感がいっぱいの体験になりました。

今まで、いくつかの川を下ってきました。我が吉野川や四万十川、ライン川やドナウ川も。ただ、一気に2時間近くというのはなかったと思います。

舟は4人づつ7列、28人の乗客に船頭さんが3人。屋根無し人力舟。今どきの乗客は半分近くが外国人。日本の川も国際化の波が訪れてます。

1606年(慶長11年)から京の都へ物資を運んでいた保津川下りは、1885年(明治28年)頃から観光客を乗せはじめ、「荷船」から「遊船」へと転換していったそう。130年間も観光を続けていることになります。2時間で下った舟、かつては5時間くらいかけて人力で上流へ引っ張っていってたとのこと。切り立った川沿いをも命懸けで歩いてだったようで、長い歴史の中では失った命もかなりあるようです。(現在はトラックで上流へ)

今回は、色づきはじめたばかりの紅葉、様々な表情を見せる景観、ナギに近い穏やかな舟上から2メートルも一気に急降下する急流のスリルまで川旅の醍醐味、快感も良かったのですが、実は船頭ズのサービス溢れるトーク、そして歴史や船頭継承にまで想いを馳せ、その生きざまの想像をも楽しむことになりました。


舟の先頭にてまさしくエンジンを担当、竹竿で漕ぎまくったり岩や石を避けたりと超力仕事の担当が一人。舟尾にて舵をとる担当が一人。そして乗客の方を向き目の前で一人だけ座りこみ、へらのようなもので漕ぎはするが、基本観光案内風サービストークに徹する一人。

最初は、50歳くらいだろうか中堅船頭が舟頭に。27歳、船頭二年目の若者が舵をとり、65歳のベテラン船頭がよしもとの芸人ばりのトークで、我々の爆笑をとる。

このトーク担当のベテラン船頭、見た目から超ユニーク。顔は寛平ちゃん。茶色に染めたパンチパーマ、白いズボンにビニール製の紫のベルト。

「あれ?お父さん保津川下り初めて?先週も乗ってたよね〜隣はちょっと雰囲気違う女の人やったよね〜」

と言っては、しまったという顔から斜め横を向きニカッと笑いウインク。(大爆笑)

船頭を50年近くやっていると自慢した口で、外国人相手には

「ノーニホンゴダイジョウブヨ。ワタシモニホン、マダツーマンスネ。ニホンゴスコシ。フィリピンカラキタヨ」

と斜め横を向きニカッと笑いウインク。(大爆笑)当然舟頭から「あんたベラベラの日本語で船頭50年やっとるゆーたやんか」とツッコミはいり。

「端の皆さん水かかりますけど大丈夫。皆さんのあぶらがはじきますから」

「紅葉はまだあと10日後くらいですね。この景色くらいでしたら、まだ皆さんの方か美しいですから」

「あれ最近流行りのライバル会社。ラフティングゆーんですけど、あっちの会社の方がえーんですわ。あちらのお客さん、高いお金払って自分で漕いでくれる。こちらの皆さんは安いお金で座ってるだけ。いやいや冗談。やってられませんわ」

「私15のときから舟漕いで今年で30年ですわ………皆さん、反応悪いわあ、ここ笑うか拍手かどっちかですよ」

全て、そう言っては斜め横を向きニカッと笑いウインク。(センプレ大爆笑)

もう一回書きますが、茶髪のパンチの65歳(本人談)の寛平ちゃんです。


ベテラン、中堅、若手を組み合わせで舟に乗ることになっているそう。中堅はベテランのギャグの最中でもお構い無しに、舟尾から舟頭、私たちの頭を越える声で厳しい口調の指導を若者に入れる。乗客は、ふざけた観光案内とプロ船頭へのまじめな修行を両方同時に体感することになる。

三人は途中でポジションを入れ替わりながら(ナギの時は若者が舟頭にて力業、急流や狭い川幅の難しいポイントでは中堅やベテランが舵を)全ての仕事を担当していく。

中堅から若者への指導中に、ベテランのトーク

「こうやって伝えていくんですよ。でもあの言い方聞くと2人仲悪いみたいでしょ。違うんですよ、3人共悪いんですよ」

ニカッと笑いウインク。(大爆笑)

若者もトークを担当、中堅やベテランほどのゆるいおふざけではなく、まだ若手のフレッシュな笑いて感じ。

「結構鹿やイノシシいるんですよ。川岸で見られることも。私ら一年に何度も見てます。鹿見たいひとー?」

乗客「はーい」

「じゃあ、奈良行ってくたさいー。なんぼでもおりますから」(大爆笑)


川自体は数百年その姿を変えてないだろうから、川下りのポイントにおける説明やネタ自体も変わらないのだろう。さらに外国人は今どきからの時事ネタだとして、男女関係ネタ、年齢ネタ、動物ネタ他、笑いっぱなしの洗練されたトークの内容も、130年前から変わらないんじゃないかと思った。人の本質なんて変わんないのだから。


舟の操縦、サービス、トーク、それぞれのたち位置から後継への受け継ぎまで、二時間弱の時間はフルコースのてんこ盛りが感じられあっという間。観光の醍醐味、おもろいエンターテイメント、川下りの歴史への想い、職業継承修行師弟関係。

どれもが、親近感を感じるプロフェッショナル。130年、もっと言えば400年に渡る伝統が生んだ至芸のような接客だったのです。


「皆さん運がえーですわ。場合によっては若い船頭が休んだりして、70歳以上が3人てな場合もあって。技はあるけど力がないんで、口ばっかりで先へ進まんのですわ」

斜め横からニカッと笑いウインク。(当然大爆笑)


京都の旅二日目。

posted by take at 21:06| 活動報告