2016年10月12日

臺君の決意


臺隆裕君が高校生の時、二つ上に尊敬する先輩がいたそうだ。柔道部や応援団にも所属、強面で身体の大きい存在感のある人だった。

震災の後

「あの人が死ぬはずはない」

そう思ってしまうような、逞しく力強い憧れの人だったと。


3月11日は、大槌高校の終業式の日だった。臺君が一年生を終え、先輩は高校三年生を終えた日。


そして震災。


それから1ヶ月以上経ち、学校がなんとか再開し、臺君は友達や知り合いの安否が不明だったりもする中、授業を受け始める。あの先輩は、まだ見つからず……


国語の授業で『二十歳の自分に手紙を書く』というのがあると。「元気で頑張ってるか?」「夢は叶ったか?」みたいなことを書く。それを先生が保管し、彼らが二十歳になった時実家に届けてくれるのだそう。素晴らしい授業だ。


再開した最初の国語の授業で先生が

「これはこの春卒業した人たちの手紙だ。全員読みなさい」

と言って回したのだそう。波にのまれたであろうあの先輩のものもある。

「自分は警察官になり人を助けたい。夢はかなってますか?」

そう書かれた手紙を、止まらぬ涙でにじむ視界の中、臺君は勇気をふりしぼって読んだのだそうだ。


成人式を迎えた日、復興最中晴れやかに執り行われた式の間、臺君はあの先輩のことを思い出していた。


自分は、先輩が迎えることができなかった二十歳になった。あなたが警察官になる夢を叶えることができなかった二十歳になった。そしてあなたよりも長く生きてしまった。

僕はあなたの分も生きてみせる。あなたのことを忘れず、生ききってみせる。


そして彼は、震災から目をそらさず、音楽と共に生きることを誓った。


大塚にて講義。ジパング。

posted by take at 21:52| 活動報告