2016年09月22日

ギトリスの言葉


私たちの日本は、大変に辛いことに災害大国になった。長い時間の流れの中で今がそういう時期なのだとは思うが、地震や水害含め長期の復興を余儀なくされる天災が、次から次へとおそいかかってくる現実がある。

国民の感覚を想像したとき、新しい災害は上書きのような意識になり、過去の被災地への思いや記憶が薄くなってしまう印象があるとも思う。


そんな昨今でも、ヴァイオリンのイヴリー・ギトリスやピアノのイタマール・ゴランといった世界を代表する巨匠たちが、東北の被災地を訪れている。

「巨匠時代最期の巨匠」ともいえるギトリスは御年94歳。日本に来ること自体凄いことだが、本人の強い希望で大槌と陸前高田を訪れ、演奏とメッセージで被災者を励ました。

車椅子にての登場と共に、被災者の歓待は物凄かったようで、僕なんかが想像する以上の空気が会場に溢れたよう。

ほとんどの人がギトリスのことは知らなかっただろう。しかし一世紀近く生きた音楽界の巨匠、被災者よりも年が上の芸術家の支援の訪問は、彼らの心を強く揺さぶるものだったようだ。その言葉と演奏は、多くの人々に大きなインパクトを残した。


ギトリスは大泣きし、そして激怒したらしい。

仮設住宅を見て、

「こんな狭いところに、老人たちが五年以上住んでいるのか…」

と言って嗚咽をもらし、盛土だらけの町を見て

「五年経ってもこの現状とは、日本人はいったい何をやっているんだ」

と激怒した。


そんな彼の言葉こそ、全くもって正しい言葉だ。


私たち関わってきた人間でも、被災者主体にならない復興の現実を時間と共に飲み込んでいき、時間がかかりすぎていると言葉にしながらも、時と共にその腹立たしさは薄れていっている気がする。

よくわからない行政や国のルール、住民はじめしがらみ、理屈を理解する方向で時を過ごし、本当に最優先すべきこと、被災者の日常、その一日も早い平穏への願いを忘れがちだ。

ギトリスの怒りは僕への怒りであり、ギトリスの涙は情けない僕への呆れる涙でもある。



10月11日、復興を願い前へと進むべくイベントをやります。演奏はトロンボーンが中心ですが、賛同者がそうだったということでトロンボーン対象だけのイベントというわけではありません。

自身被災者であり演奏家でもある臺さんに、被災地の現実現状、そして何かしら音楽で繋がりたい、支援したいと思っている人への具体的アプローチを語っていただきます。

一人でも多くのエールを希望します。御興味ある方、メール、連絡お待ちしております。


『震災と音楽復興と演奏』

会場 日暮里サニーホール
19:00開演
入場料 一般1000円 高校生以下500円
入場料は全額、岩手県大槌町復興支援 「槌音(つちおと)プロジェクト」 に寄付されます。

講演 「震災と音楽、復興と演奏」
臺 隆裕(トランペット奏者 岩手県大槌町出身)

演奏
TSUCHIOTO
臺 隆裕 藤井 星亜 川満 恵一郎
稲荷 周佑 鈴木 芽依 浮嶋 純一

吉川 武典(NHK交響楽団トロンボーン奏者)

桑田 晃(読売日本交響楽団トロンボーン奏者)

高嶋 圭子(作曲家ピアニスト)

トロンボーン・カルテット・ティンツ
中村 友子 小宮山 碧 小和田 有希 中村 弥生

お問い合わせ
TEL : 050-3552-3522 (高嶋)


N響定期練習。NTTレッスン。


posted by take at 23:08| 活動報告