2016年09月17日

みなみへ

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拝啓、みなみ様

今日は君の結婚式。はれの日はまさに晴れ。天気も良くなり、美しい花嫁姿と幸せいっぱいの笑顔は、一層輝いて見えました。


初めて君に会ったのは、大学入学の時でしたね。かつての自分を見るよう、島根から上京した田舎モン全開の若者でした。

トロンボーンはみるみるうちに上達し、学内でも様々な代表に選ばれました。とても頼もしい楽聖だった。

三年からはレッスン係もやってもらいました。勝手気まま、気に入らないとすぐ怒る先生の相手は大変だったことでしょう。しかし、メールの宛先を間違えてはいけませんよ。

散々飲みましたが、やき亭にて、ジャンケンで負けてしまうせいで好物のチヂミが食べられなく、悔しさを叫ぶ君を皆で笑っていました。あれはチヂハラ(チヂミハラスメント)でしたね。今思うと可哀想なことをしました。ジャンケンは強くなりましたか?

卒業式の日、お母さんと初めてお会いすることができました。

「先生、いろいろありがとうございました。ご迷惑かけたことと思います。この娘はがらっぱちですから」

「もー、やめてよ。お母さん!!」

がらっぱちという言葉が懐かしく、なんとも素敵な親子関係に、君の育ちの良い質を感じました。


卒業後は、成績優秀のためヤマハ新人に選ばれ、更に大学の研究員に抜擢されました。

そんなある日、やはりやき亭の二階で、酔っぱらった君は僕に絡みましたね。

「せんせえ、私はど〜〜〜〜〜〜〜〜〜しても、トロンボーンプレイヤーになりたいんです」

テーブルをバンバン叩く君に、少しめんどくさくなった僕は

「なればいいじゃん、どんな立場でも、吹き続ければプレイヤーだよ」

と酷い適当さで応えました。君は、更に強い語気で

「そ〜じゃなくてえ〜〜、もー、わかってるくせに〜〜、そ〜じゃないから!!」

と店を壊さんばかりの剣幕酔ッパ、凄い情熱でした。

数ヶ月後、君は海上自衛隊音楽隊に合格し、横須賀音楽隊の隊員として、私たちの国を守る任につきました。自衛官であり、まさしくトロンボーンプレイヤーになりましたね。

僕は、「ああ、あーやって夢と悔しさとを全力で叫ぶような人間こそが、きちんとプレイヤーになるんだな」と、その後の若者たちを見つめる指針を感じました。


年月が経ち、ある日やはりやき亭に呼ばれ

「せんせえ、私結婚します」

と聞いた日、嬉しさと同時に、あらためて君の頼もしさを感じました。


四年間、楽聖の間はレッスン中一度も泣かなかった君。岡本哲先生の言いつけを守り、涙を飲み込んでいた君は、ヤマハ新人を関西から聞きに来てくれた哲先生の前で号泣しました。本番で聞きにいけなかった僕に「掟をやぶってしまいました」とメールをしてきた時、「流してもいい涙もあるんだぞ」と、この時ばかりは僕も的確に返すことができました。

お母さんはがらっぱちと言った。後輩たちは「先輩は実は乙女なんですよ」と言っていた。僕は、意志の強い頼もしい若者だと思っていた。

そんな君は、仕事も音楽も全力で、他人の痛みを深く感じられる素敵な女性になった。今日の晴れ姿は、はっきりとそんな君が滲み出ていましたよ。

きっと、旦那さんの存在は、君の時間を豊かにしてくれているのでしょう。そんな人こそを大切に、これからも幸せへと迷わず進んでいってください。

晴天の空の下、君の姿は僕の喜びであり、誇りでもありました。


みなみ、末長く幸せに。


しょうもないたけより


結婚式。


posted by take at 22:15| 活動報告