2016年06月19日

声たち


積水ハウスのコマーシャル、最近ものは例の有名な音楽がいくつかのアレンジで流れている。

混声合唱のものがとても印象に残る。

「……いい曲だなあ」

楽聖たちにその話をすると、YouTubeにいくつかあがっているという話題になった。「いくつもってどーゆーことよ」「合唱団の定期演奏会のもあります」「なぬ?」

調べてみると、信長貴富さんの編曲で、合唱ピース『積水ハハウスの歌』というのが出版されており、様々な団体で歌われているようなのだ。

かなり前から、何度となくこの曲をテレビで聞いてきたはずだが、今回合唱のものでその魅力に初めて気付くことになった。聞けば聞くほど感じ入るものが多い。



ブロカートの合宿が終わり、団員の車に乗せてもらい帰ることに。一人で先に乗り込み、5分程皆を待つことになった。身体はくたくたで疲労のビーク。ラジオから合唱曲『群青』が聞こえてきた。

自然と涙がわいてきた。

「今ね、ラジオで合唱やってて、多分群青って曲だけど、なんか涙出てきちゃってさあ」

「身体が疲れきってて、涙もろくなってんじゃない?」

「多分そうだね」


調べてみた。『群青』は、東日本大震災被災後、福島県南相馬市の小高中学校の生徒たちが、離ればなれになってしまった仲間を思って、つぶやいたり書き留めた言葉の数々を、同校の小田美樹教諭が綴って曲をつけた作品。やはり信長貴富さんの編曲で、様々楽譜が出ているよう。

聞いている時は、震災うんぬんはわからなかったが、心にしみたのには、確かに理由があったようだ。



随分前だが、マエストロ・スベトラーノフとの定期で、チャイコフスキーの三大バレエの抜粋をやったことがある。本番のNHKホール舞台上、斜め後ろにいた子供コーラスが歌い出した瞬間、物凄い勢いで涙が溢れ、自分で驚いたことがある。想定外でもあり、その時コントロールきかなかった感情そのものを今思い出すのは困難だが、どれだけ年月が経っても忘れられない、ステージ上での思い出のひとつとなっている。


声には凄い力がある。私たちの心をどう揺さぶり涙を生むのか、詳しいことはわからない。歌詞から受け止める感情が声色にのり、それが聞くものの琴線にまで届くことはあるのだろうし、群青のようにバックボーンが思いやエネルギーへと変わり、そうやって生まれた音楽の力が声にこもるともあるだろう。歌詞はなくとも、純粋な声色から我が感性の生きざまを振り返ることだって、不意に訪れる。 理由はわからないが、きっと真実はある。

声には、人間を変える力が確かにあるのだと思う。


ブロカート、合宿。

posted by take at 16:01| 活動報告