2016年03月09日

扇の力


昨日のコンサート、ご来場いただいた皆様、ありがとうございました。楽聖たちは力を出したと思いますし、よい評価もいただきました。14日には高松公演もあるので、皆で楽しみながらまたトロンボーンアンサンブルの世界を広げていこうと思います。


今日からN響はブルックナーの八番の練習。長大な名曲の、素晴らしい世界観と向き合うことになる。

僕が休みの部分、池田君がチェロバスとユニゾンを吹いているのを聞いていて、ふと考えが。

「ねぇ、そこアクセント付いてるけど、コントラバスはほとんど等速で、テヌートの感じで弾いてるね」

池田 「楽譜についてないのかな?」

休憩時間、二人でコントラバスの楽譜を覗きにいく。チューバと同じく、アクセントは付いている。

「ここって、アクセントあんまりやってないよね」

楽譜を見せてくれた、後ろのプルトの人に聞く。

コンバッシー「そうですね…」

曲調にあわせて自然にそうしているのであろうし、前で弾く首席に合わせてのことだと思う。


休憩後、再びその部分をよーく見てみた。すると、

「そっかー。コントラバスの意識は、チェロとビオラのニュアンスに、完全に照準があってるんだ」

もちろん、無意識でもそう弾くように、マエストロの流れは作られている。だから、とても自然にテヌートで腕も動いているのだろうが、同時に、前で弾くビオラとチェロからの指標が後方に強く影響を与えているのが、ラインとしてビジュアルで見えたのです。扇の要(弦楽器のトップ奏者)から、放射状にはっきりと。コントラバスの首席はそれを意識しているし、後ろのプルトは前からきちんと受け取っている。


当たり前のような話で何を今さらだが、オーケストラというのは、本当に面白く、興味深いものだなあと、扇がはっきりと見えた瞬間に思いました。


当然我々は、我々のニュアンスを自発的に作りながらも、なおかつ前からの波のように拡がる情報の影響に身を委ね、協調と個性のハイブリッドを、更なる空間に向かって放つこととなる。

オーケストラとは、人生に必要なアイテムが、自然かつ必然的に備わっている、なかなかに凄い生き物である。


N響練習。

posted by take at 19:24| 活動報告