2016年03月05日

現役である時間


山本昌広が、引退セレモニーで

「世界で一番幸せな野球人生でした」

と語った。

僕と同い年のアスリートたちは、ほとんどの人がとっくに現役を引退している。今の自分の身体を見つめてみると、山本昌の一線での活躍は驚異的だ。

僕はジャンル自体が違うが、同じだけの時間表舞台にいたということで、やはり

「今、現役を引退したら、やりきったと思うかどうか」

と考えてしまう。もし今、突然オーケストラを辞めることになったとして、やはり

「幸せなオケマン人生でした」

と言えるとは思う。基本質の高い合奏の中にいることができたし、素晴らしい指揮者たちと様々な感動を体感してきた。中には、驚くほど心が震え、

「これこそがオーケストラの音楽だ。これがあるからやめられない」

と思ったことも何度かあった。物足りないと言うには、それなりに経験してきたので、もう諦めなさいと言われたなら素直に聞かなくてはならないかもしれない。

しかし、山本昌の野球人生が充分特別な長さあったことを認めた上でなお、

まだまだやりたい

というのが本音である。

なぜなら、まだまだ自分は未熟であり、まだまだ本物の感動が日常的には数少ないから。

既存のレパートリーはほとんどやった。僕はベクセルンなので、二番もバスも、かなりの曲を経験した。名演、快演、凡演、たまに惰演。本当にたくさんの経験ができた。

しかし許されるなら、更なる高みを要求し、継続してオーケストラの音楽、セクション、ハーモニーを作る時間を貰い、まだまだ見たことのない世界を夢見たい。

山本昌という、50歳で引退するという一流アスリートの生きざまを感じたおかげで、自分の音楽人生を見つめ直すきっかけになった。

もちろん、謙虚に控えめには生きたい。でも、僕はもっともっと音楽を求めたい。


N響、オーチャード定期。

posted by take at 23:06| 活動報告