2016年03月03日

咲け!ハナミズキ


夕べのコンサートでいただいた花束、とても立派なもので嬉しかった。ただ、帰京までには元気をなくしてしまいそう。可愛い花には旅をさせず、泊まったペンションで飾ってもらうことにした。

ペンションのロビー、胡蝶蘭はじめいくつかの花がもう枯れかけの感じだったせいもあり、女将さんには随分喜ばれました。

「ちょうど、花が全部終わりかけだったので、本当にありがたいです」

帰り際、見ると大きな花瓶にて、色とりどりの花々が輝きと喜びを放ちながら、咲き誇っていました。



昨晩、コンサートの最前列に華やかなご婦人が。ピンクを基調に随分明るく賑やかなファッション。かぶりっぱなしの帽子にも、大きめの色んな花が付いています。

MCへの反応も良く、笑うはウケるは突っ込んでくるは。『四季の詩』の際、秋の説明中

たけ 「秋といえば、食欲の秋、芸術の秋、あと……恋の秋ですね」

なんて、さりげなく言ってみたら、

「キャハハハ(*≧∀≦*)、そりゃないでしょ!!!」

一気に会場が和んだのですが。いろんな意味で派手。

コンサートが終わり運営の方々と話していたら、やはり彼女の話題が。地元でも有名で“ピンクさん”とのあだ名も既にあり。怪訝そうに受けとめる人もいるようですが、

「あの方、イベントには必ずいらっしゃるんです。明るく振る舞ってますが、実はずっと仮設にいて。せめて格好だけでも明るくって、ああしてらっしゃるんですよ」


ステージから見た客席、『ハナミズキの祈り』では、やはりすすり泣く声も多く、演奏している我々も気持ちをしっかり保たなければならない場面がありましたが、映画音楽からジャズ、四季の詩、アンコールの演歌まで会場にリラックスして和んでいただけたのも、一輪のピンクの花が咲いていたからだと感じました。



コンサートの最後、運営をしてくたさった『ハナミズキのみち』の会の代表、淺沼さんのご挨拶が。私たちへの謝辞の後、客席へ向かって

「五年も経ちましたが、皆さん、これからもしっかりと生きていきましょうね!」

御自身と市民に向けてエールを放ちました。大変な被災地の大変な日常。笑顔を作りながら、多々ある揉め事にも負けずに、前だけを向いて進んでらっしゃるのでしょう。

「ふり返りもしないし、忘れもしない」

という、ある被災者の言葉も見ました。

淺沼さんのエールは、丸五年の様々な重みを内在しながらも、僕には、ふわっと咲いた花のように感じられました。



前回陸前高田を訪ねた時は、まだ完全な更地。切り崩される彼方の山から、驚くほど長いベルトコンベアーで、市内に向かって土が運ばれている最中でした。奇跡の一本松をバックにしたその異様な光景、そしてあまりに広大な更地に、言葉を失ったのを覚えています。

現在は、十メートルのかさ上げ盛土が、あちこちでピラミッドの土台のように道や視界を遮る。威圧感を放ちながらの不気味ともいえる光景。生活感の無さと、まだまだ長大な時間がかかるであろう現実をまざまざと見せつけられる。


今朝の帰京の途。雪がちらつく中、車中から見たその盛土は、うっすら積もった雪が色づけし、薄い灰色になっていた。まさに、冷たい巨大なコンクリートの塊が町中を支配しているように見えた。


この町には、咲き誇る花が必要だ。


それは人であり、音楽であり、命の息吹き溢れる美しい花でなくてはならない。


帰京。

posted by take at 16:37| 活動報告