2016年02月19日

Wieder シュムー


ブルックナーの八番を聞いた後、やはり赤坂だが、今日は焼き鳥屋に行ってみた。シュムーは、

「スシオイシネー」

の人だが、あの身体だから当然肉も好きなはずで。食べ飲み始めてから、

“おぬし、ヤキトリも慣れておるな”

てな所作がいくつも見られた。前半は遠慮気味だったが、後半こちらが話し込んでいる隙を見計らうように、ノンストップで串焼きを食べ続けていた。だよね、あの身体だから。

結局八番は吹かなかったのだが、今回のシュターツカペレのツアーは、来日してからも風邪等具合の悪い人も多いらしく、降り番でも待機してなくてはならないようで。昨日までのツァラトゥストラのN響定期、聞いてもらいたくてチケットも確保したが、結局そういう理由で叶わなかった。彼に習ったツァラトゥストラのオケスタ(忘れられない、彼の見事なDの跳躍!!!)、50になってようよう吹けるようになったこと、以前N響を聞いてもらったのが多分10年近く前になるので、現在のオーケストラも体験してほしいという気持ちもあり。更にシュムーも

「オゥ、ツァラトゥストラネ!ズーパー!!」

と興味を示してくれたのだが、残念ながらまた次回と相成った。

バレンボイムさんは、N響の練習聞きにくるは、本番も聞きにくるは、舞台裏うろうろしまくってるは。あの人、毎日サントリーホールに住んでるんやなかろか。


相変わらず、爆笑爆笑のヤキトリツァイト。今日は日本酒もいくというので、初めてシュムーとツーショットで熱燗を飲んでみた。

真面目な質問もしてみたが、基本お互いオチの方向へ進む。来月2日が誕生日なので今は同い年。だからか、なんだか波長とペースが合う。

羨ましかったのは、トロンボーンアンサンブルに関して。他の大学の専攻生も一緒に、12月に必ず『クリスマス・コンサート』をやる。ガブリエリ、パッヘルベル、メンデルスゾーンなんかを教会で。シュムーも一緒に吹くと。

絶対綺麗だね。響き豊か過ぎるミュンヘンの教会で、美しいコアーをシュムーと一緒に。えーなー。


東京の後は広島に行くよう。どうしても広島平和記念資料館に行きたいという。彼の平和を願うヒューマニズムは、僕もベルリン時代から少なからず知っている。原爆にも震災にも、強い思いがあるようだ。家人が、

「震災の後、それまで親日だった多くのドイツ人が日本人に疑問をもちましたね?」

と訊ねたら、開口一番が日本語。

「ゴメンナサイ…」

当然親日家である彼としては、ドイツ人を代表して謝っているよう。まずは私たちに気を遣ってくれる細やかさだ。そして難しいドイツ語での説明が。

「ただ、ドイツは火力発電に切り替えたんだ」

知ってます。毅然と方向転換したドイツ、できなかった日本。

しかし国がどこへ進むことになっても、僕は民族の信頼関係はこれからも失いたくない。シュムーはドイツ人で僕は日本人。お互い世界に願う希望は同じだと思うから。


タケがオキナワに行ってるなら、いつかみんなでオキナワで集合だ、という話でヤキトリフィナーレを迎えた。シュムーは双眼鏡を覗く仕草をしながら、

「ビキニネ、ビキニネ」

を連発。やはり連発した日本酒のせいで少々壊れたか、

「ボクモビキニネ」

と言うので、やめてくれとお願いした。だって、あの身体なのだから。


彼と出会えて本当によかった。最高の師であり、最良の友である。

これまでも。これからも。


川越へ。

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2016年02月18日

蕎麦プレスト!


先日、大井町で温泉に浸かりマッサージをうけた後、蕎麦屋で飲んでみた。

これがとてもいい店で、一品料理から最後の蕎麦までとても美味。お酒も焼酎や日本酒のい〜〜のをおいてあり、とても楽しく飲み食いを満喫しました。

蕎麦はノーマル、十割、だったんそばと三種類あり、それを二人で食べ分けてこれまた大満足。


知り合いで、スピーディーかつ豪快にすすり上げて食べる人がいます。それが、正しい蕎麦の食べ方だと。かなり音をたててですが、それこそが粋だそうで。

蕎麦は香りとのど越しを楽しむもの。空気と一緒に一気にすすると、香りもより訪れて美味だと言われています。

噛みすぎるは野暮

薬味は直接つゆに入れず、わさびは蕎麦に乗せ、大根おろしや七味は途中から。しかも味の薄い順から楽しんで

蕎麦はどっぷりつゆに浸けず、下三分の一くらいつけ

で、一気にすする


まあわかるんですけど、僕は野暮なので、薬味は最初から入れどっぷり浸していた。それで十分楽しんでいたし、細かい所作にあまり興味と意味合いを感じようとしてなかった。


“やってみようかなあ”


ほろ酔いの頭でそう思い、蕎麦を全て浸さず、半分くらいだけつけて口に運んでみる。

まずはナチュラルな蕎麦の味。でも下半分ならつゆの味が物足りないかもしれない。

で、一気にすすりあげる。

するとあーた!! 問題ないどころか、えーやないかい。

十分つゆの味やってきます。全然物足りなくない。どころか先人のお話通り、香りも味と同じくらい口の中に拡がるし、蕎麦そのものの味とつゆがそれぞれ時間差できて、そして融合して。

なるほど〜、こりゃいいや。粋だどうだの前に、これは本当に美味しい食べ方ですね。もちろん香りの弱い蕎麦じゃ冴えないかもしれないけど、でもつゆとのバランスはこの方がいい。せいろの最後まで、飽きずに楽しめる。


人生後半、後れ馳せながら蕎麦を本腰入れて楽しめるようになりそうです。


川越へ。N響定期。

posted by take at 19:47| 活動報告

2016年02月17日

おっかね〜話


トロンボーン吹きは、楽器の値段の話はトロンボーン吹き同士でしかしません。

いやね、世の中知らない方がいいことも沢山あるんすよ。

漠然と知っている。弦楽器が大変に高額であること、そして木管や他の金管も100万円では買えないものが多々あること、皆なんとなく知っています。ふと周りを見渡すとそんな高額な楽器を手にし、そして同じステージにて演奏し、同じギャラを貰ったりするわけですね。

どうやら、クラリネットやトランペットはトロンボーンと変わらない価格もあると。しかし彼らは、複数の楽器を持ってないと仕事にならなかったりする。

トロンボーンが、実は楽器の中ではかなり安価であり、しかも一本持ってたらプレイヤーとして仕事ができること。他の楽器の人は知らなくていいんです、ていうか知らない方がありがたい。


そんな僕らも、ファゴットがびっくりするくらい高いことを知っている。音は低いのに。

ファゴット奏者から、ただでさえ高いのに年々上がっていく値段を聞き

「大変ですねぇ」

と相づちをうつからだ。そんな時こそ尚、トロンボーンの値段は口が裂けても言えない。

ドイツのヘッケル社のファゴットが世界中のシェアのほとんどを独占しており(プロフェッショナルな場面では特に)、他社との格差が激しいのだが、このヘッケルが管楽器としては驚くほど高いのです。

注文してから3,4年待つのは当たり前で、しかも現在は一本700万円近くすると( ; ゜Д゜)。コントラファゴットにいたっては1000万円を超えるというのです(@ ̄□ ̄@;)!!。

ね、トロンボーンの値段言えないでしょ。嘘でも、弦楽器の「弓も高い」 みたいに、「いやあ、スライドが高くてねぇ」ってってもギャグにすらなりません(よゐこの皆さん、スライドは別売ではありません)。


ある時、アマチュアの生徒が1800年代最後の方のトロンボーンを持ってきたことがありました。それがなんと、ヘッケル社製だった。ドイツの工房の倉庫を整理したら出てきた物だそうで、出品されたのを飛び付くように購入したと。

その話をN響練習場の控え室でしたら、さすが日本管楽器界を代表する方々、豊富な知識が出てくる出てくる。

かつてヘッケル社は、全ての管楽器を造っていたそう。

たけ 「ヤマハみたいなもんですね」

それが、フランスからいろんな優れた管楽器が入ってくる流れの中で、バソンだけ随分システムが違ったので、ドイツ式のファゴットを熱心に手掛けたヘッケル社製が、徐々に世界中の人気になっていったと。

たけ 「それで、他全部止めてファゴットだけ造って、独占になるって流れが面白い。そこはヤマハとはまるで違う」

実はワーグナーが、ファゴットの更なる最低音が出るようなオプション楽器を造らせたのもヘッケル社だし、リヒャルトシュトラウスは社名を施した

【ヘッケルフォン】

なる楽器も造らせている。これはバリトンオーボエのことで、彼の作品の中では、「サロメ」「エレクトラ」「祝典前奏曲」「アルプス交響曲」で使われています。


N響のプレイヤーたちからは、知識以外も豊かな発言が飛んできます。

「ヘッケルって、ホントなんでも造ってたんだね。電話も造ってたかあ」

ヘッケルフォン……


N響定期。

posted by take at 21:36| 活動報告

2016年02月16日

シュムーとの楽しすぎる夜

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夕べは、ベルリンシュターツカペレのコンサートへ。モーツァルトの22番のピアノコンチェルト、そしてブルックナーの六番をサントリーホールで。

バレンボイムとこのオーケストラのコンサートを聞くのは20年ぶり。ベルリンフィルハーモニーでのベートーベンの七番は、記憶にしっかりと刻まれています。

同じホールで何度となく聞いたベルリンフィルとの個性の違い。州立歌劇場のピットとの印象の違い。コンツェルトハウスで聞いたメータとのマーラー復活とのサウンドの違い。あの頃から蜜月だったし、ベルリンフィルを脅かすと既に有名だった両者の組み合わせを、ワクワクしながら聞いたものでした。


あれから20年も経ったので、もちろん人もサウンドも変わっているのでしょうが、ベルリン時代を一番思い出せそうなアイテムに、やはりウキウキしながら赤坂へ向かいました。


いやあ、ガッツリベルリンが甦ります。なぜなら、なんとブルックナーにはシュムーがエキストラで出演しているのですから。

シュムーは、僕の帰国後も、バレンボイム直々の指名で何度かシュターツカペレのツアーに参加していて、アフターコンサートに会ったりしていましたが、今回のブルックナー全曲という長期ライゼにはさすがにいないだろうと思ってました。四週間だし、もうあれから20年だし。

ただ、それとは関係なく聞きたかったので、このチクルス二公演のチケットは購入していたのです。


すると、来日してからしばらくして連絡あり。来てると。

「え?!来てんの?」

どうやら出発の五日前に、急病のメンバーの代わりに、やはりバレンボイムから直々に声がかかったと。それでいきなり四週間来日ですから、大学の方は大丈夫か?と心配になりましたが、時期的にもなんとかなったそう。

ま、立派な体格もフットワークの軽さも健在。

前半のモーツァルトの弾き振り、ピアノもオケも素晴らしく美しく。心穏やかに堪能しました。

で、ブルックナー。シュムーの神のようなサウンドに、懐かしいやら尊敬し直しやら。特にフィナーレの強奏の場面の吹きっぷりには、のけ反りました。


終わって家人と友人と四人で、赤坂の予約していた店へ。さすがに馬刺は固辞されたが、各種お刺身から鍋、勧めに勧めたからしれんこんまで楽しんでくれました。爆笑あり、真面目あり、ソフト下ネタありの楽しい再会。本当に嬉しく、あっという間の時間でした。

「オイシネー」「ソウデスカー」「ソウデスネー」「アッリガトウゴザイマース」

今回は、積年の課題だった

「チョットマッテヲクダサーイ」

を 「チョットマッテクダサイ」 に直すことができた。しかし、シュムーのチョットマッテヲは20年選手。お気に入りの寿司屋での「マグロヲクダサーイ」と同じ使い方してきたからね。

僕がベルリンで直せなかったのが良くなかったのだが、かなり長期に渡って使用しているので、直ぐに直るかどうかは疑問。

ま、音楽もローマも一日にしてならずですから、シュムーのニホンゴが正確になる日が来るのものも


チョットマッテヲクダサーイ!!!


N響定期練習。
赤坂のお気に入りの回転寿司は無くなったらしく、一人で地下鉄に乗って上野まで食べに行ってるらしい。まあ、プロのトウキョウウォーカーですよ。何と来日40回目だっちゅうんですから。

posted by take at 15:43| 活動報告

2016年02月15日

見た目は同じだったかも


昨日演奏会が終わってから気がついたのですが、今回の三曲、レオノーレ、ドンファン、そしてエロイカ、どれも上から下へ、大きく振り下ろし曲を始めるものでした。よくもまあ、そんな三曲が。

しかし終わるまで気づかないとは……


レオノーレはとても遅いテンポのフォルテ、しかもユニゾン。音程も気になりますが、まずは弦管、そしてティンパニまでが揃って出られるか。ブレスとニュアンスもですが、タイミングがとても難しいスタートでした。

同じくエロイカもフォルテですが、こちらはアレグロの三拍子、一小節ひとつを示す。ただ今考えると、レオノーレの分割八分を示すスピードと、エロイカの一小節分がほぼ同じスピード。ということは、見た目的には同じような振り方をしたのかもしれない。でもこちらはアレグロ。気分的にはまるで違う。そして二小節目のタイミングから、三小節目のアンサンブルまで、難易度が高かった。

ドンファンは、とにかく力強く降り下ろし、とても短い休符の後、細かいたくさんの音をフォルテで弾いてもらい、後から入る人含めなんとかテュッティで集合してもらわなければならない、最高難易度のスタート。これまた考えてみたら、ベートーベンと同じようなテンポ。振り下ろした後はともかく、見た目だけだと予備運動から下までは、どれも同じようなことをした気がする。


でも半年間、やってた自分は気づいてなかった。というのは、出てくる音楽は、みなフォルテではあったが、その世界観はまるで違ったから。

振り始める前、腹をくくった時、振り上げた時、そして下ろした瞬間まで、僕の中ではまるで違う世界が渦巻いていた。

でもきっと、凄く同じような動きをしたのでしょう。

記憶が曖昧だが、カラヤンがドンファンのつもりで振り下ろしたら田園だったことがあると、聞いた気がする。

でも昨日なら、どれが始まっても大丈夫だった。チョー勘違いで一瞬面食らっても、しれっと先へと進められた。


指揮という音の無い動きと、音楽という世界観。面白いものだと思いました。


N響定期練習

posted by take at 17:29| 活動報告