2016年01月29日

ハナミズキの旅


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ジパングが陸前高田市に行きます。高嶋圭子さんの『ハナミズキの祈り』を演奏するためです。

この曲は、この地で被災し息子さんを失った淺沼ミキ子さんが書いた絵本、『ハナミズキのみち』がきっかけで生まれました。

深い悲しみの中、息子さんが夢に現れ 「ハナミズキで避難を導いて欲しい」と言ったそうです。淺沼さんは、陸前高田『ハナミズキのみち』という会を設立。大規模な避難道にハナミズキを植える運動を今でも続けてらっしゃいます。


久々のジパング練習。もうレコーディングも経験した作品ですから、演奏自体は手の内に入っているものですが、音を出して数秒で、意識から薄れていた今回の私たちの訪問の意味が、強く僕を突き動かしました。

更にあの悲劇の日のこと、更地のこと、学生たちとあの場所に立ち、信じられないほど広大な失われた町の上で、まさに“ぽつてん”と淺沼さんとお会いしたこと。様々思いが巡ります。

改めて、本当に本当に、本当に辛い思いをした人たちの立場に少しでもたち、我がごとのように想像し、小さいことでも投げ掛け、同じ国に生きる人間として繋がらなければならないと、使命感のような気持ちも再燃しました。


家族や友人を、住まいを、思い出や自分の歴史を一瞬にして失ってしまった人々。自然の脅威と片付けるのは簡単ですが、人としての尊厳まで元々無かったのかと思わされるような悲惨さを、今一度リアルに受け止めたい。


ハナミズキの祈りは、音楽としての力も素晴らしい作品です。そこに、リアルな現実が混ざると、演奏していても負けそうになる瞬間もありますが、心を強く携えて取り組みたいと思います。



【トロンボーンクァルテットジパング陸前高田特別公演―ハナミズキの祈り―】

2016年3月2日
18時半開演

陸前高田市シンガポールホール

入場無料

高嶋圭子「ハナミズキの祈り」、天空の城ラピュタ・ニューシネマパラダイス他映画音楽特集、日本のうた、ジャズナンバー他


悲劇は忘れたくなる。でも忘れてはならない悲劇はあると思います。なぜなら、多くの人が忘れることによって、悲劇の上塗りのように悲しみが増し、苦痛に胸を痛める人たちがいるから。悲しみを甘く見てはいけない。本当に忘れてもいい日が来るとしたら、まだまだ長い年月が必要で、その時までは、共に分かち合うことこそ必要だと思います。

明日は我が身であり、自分がその立場になれば誰しもそう望むでしょう。その時は皆辛さに耐えられずに嗚咽し、慟哭から抜けられず、生き続ける判断すら失う可能性は高いのですから。


N響練習。レッスン。ジパング。

posted by take at 09:56| 活動報告