2015年12月12日

払わない


古典落語に、ケチなやつがうなぎ屋の隣に引っ越した話がある。

ドケチよろしく、二階の部屋でうなぎ屋から登ってくる煙をおかずにご飯を食べていたのだが、そんなある日、なぜかうなぎ屋が集金に訪ねてくる。

「こちとらうなぎなんか食ってねえぜ」

うなぎ屋もくせ者で

「煙の嗅ぎ賃をいただきに」

しかしドケチも更なる強者、負けておらず

「じゃあ音で払わあ」

とばかり、ジャラジャラさせて。



今朝、泉岳寺の練習場で、地方から出てきた人のレッスンを始めようとしたら、隣の部屋から、立派なバズィングが聞こえてきました。

ん?トロンボーンやな。

覗きに行くと、名手黒金君が、やはりレッスン前のウォームアップをしているではないか。挨拶と雑談を済ませ部屋に戻る。

「隣は黒金君だよ。ね、とても丁寧に自分の音や音程を聞きながら音出してるでしょ」

しばらく、壁越しにちぃさく聞こえてくる音をサンプルにレッスンを進めてみた。

でも、僕は利用した分どころか、黒金君に一切レッスン代は払わない。



「昨日、夢に君が出てきてさあ……」

数は少ないがたまあに、本当にたまあにだが言われた時、僕は嬉しいもんです。人によるだろうし、もちろん言われた相手にもよる。

キライな人なら

“ナニ夢にだっしょんねん!”

と、嬉しさマイナス。でもニュートラルから好意的な範囲の人なら、意識してもらった気がして嬉しくなります。もちろん内容によるので、まず100パー

「え?どんな内容?」

って聞いてしまいます。自分が見た夢に、好きな人、普通の人、キライな人、様々登場しますが、多分キライな人以外なら

「昨日、あなたが夢に出てきてね……(あなたの夢見たのよ)」

なんてこと、言ったりしたこともあると思います。この際、ウケ狙い的に

「出演料払ってね」

と言うのか、

「出演料払うね」

と言うのか、悩むときがありません?え??僕だけ???

シンプルに、自分にとって“出てきてくれてありがとう”なら、払いたくなるのかもしれませんが、そんなんも含め、支払いがなされたことは一切ありません。



僕はなんと幸せなことに、年中N響の演奏を、雛壇の上でタダで聞いている。そして、その代価を払ったことはない。

いや、音出してる時は聞いてないでしょって?

でも、N響じゃないけど、新世界交響曲の、一発だけのシンバルのためにいる打楽器奏者がオチて叩けず、最初から最後までフルサイズ聞いていたなんて話もある。

もちろん彼は支払わなかった……どころか、彼に支払われた形跡もある。


世の中、代価が全てではありまひぇん。


レッスン。N響定期。

posted by take at 21:04| 活動報告